民法177条の「第三者」には、いわゆる背信的悪意者は含まれないとするのが最高裁裁判所の判例(背信的悪意者排除説、最判昭43.8.2)である。
すなわち、物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合(43字)は、 かかる背信的悪意者は、登記の欠缺を主張する正当利益を有せず、民法177条がいう第三者にあたらない。 単なる悪意者は177条の「第三者」にあたる。悪意者包含説、最判昭32.9.19。 民法177条の「第三者」とは、当事者もしくはその包括承継人以外の者で、不動産に関する物権の得喪の登記の欠缺を主張する正当な権利を有する者をいう。大連判明41.12.15。 事実上、物権変動があったことを知る者が、当該物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる場合、かかる背信的悪意者は、登記の欠缺を主張する正当利益を有せず、民法177条がいう第三者にあたらない。最判昭43.8.2。 たとえば、BがAから不動産を買い受けて所有していた。しかし、Bの所有権取得登記がされていません。そこで、C(背信的悪意者)は、Bの所有権取得の未登記に乗じて、Bに高値で売りつけ、不当な利益を得る目的で、Aから当該土地を買い受けてその旨を登記した。 この場合のCが背信的悪意者にあたる。ゆえに、Bは登記がなくてもCに対して所有権を主張できます。 さて、ここで、考えてみましょう。 たとえば、BがAから不動産を買い受けて所有していた。しかし、Bの所有権取得登記がされていません。そして、Dは、Aから当該土地を買い受けてその旨を登記した。 この場合、Dの法律的立場はどうなるのでしょうか? 結論から言うと、Dは「第三者」のにあたり、Bは登記を備えていない以上、Cに対して所有権を主張できません。最判昭32.9.19。 Dは、単純悪意者と呼ばれ背信的悪意者とは区別されます。登記を備えれば保護されます。つまり、権利を主張できるのです。
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